わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

平田俊子「スロープ」

 主人公は戦死した伯父の供養のために、ソロモン諸島にあるコロンバンガラ島を訪れる。
 ちょいちょいと挟み込まれていた過去の記録や土地の記録、そして思い出たちが、主人公にさまざまな妄想をさせる。何か行動を起こすたびに主人公はその経験や見聞と記録たちを結びつけ、そりゃないよ、とツッコミを入れたくなるような妄想を断片的に繰り広げる。というより、軽く、しかし突拍子もない感じで妄想をして、そのまま考えた世界をポイッとどこかに投げ捨てる。そんな感覚なのだが。本作、「かもしれない小説」だなあ、と思ってしまった。

群像 2009年 10月号 [雑誌]

群像 2009年 10月号 [雑誌]

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