10月に発売されたばかりの最新作にしてここ数年の最高傑作。ソロ名義では「Blemish」(これまた傑作で、愛聴している)以来だから6年ぶりかな。アンチ・ポップではあるが内容は他に比べられる音楽をぱっと思いつけぬほど個性的、というよりは「孤高」という感覚が強い。フェネスをはじめとする音楽家たちによる音響系の作品群は音楽における音の役割を根底から変えてしまった(と個人的には思っている)が、デヴィッドはそれらをヴォーカルの背景に据え、時に対立反発させ時に共存融合すさせることで、新しい音世界を切りひらくことに成功した。本当は「Blemish」でやりたかったことなのだろうが、まだまだ未成熟でアイデアも不十分だったのではないだろうか。前作では背景とヴォーカルは平行線を辿りながらひたすら突き進み、時折偶発的に曲線を描きはじめ接触する、という感じだったが、本作はふたつの存在を有機的に共存させることができていると思う。
詩世界については、また機会があるときに触れたい。
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