海外文学強化期間、ということでチュツオーラの次はコレを選んだ。学生時代は外国語学部、第一外国語がドイツ語でドイツ文学やドイツの近代から現代にかけての思想などを学んでいたから(ほとんどわすれたw)ドイツの作家には興味があるのだが、ムージルには手を出していなかった。大好きな古井さんの訳ということで、読もうと思った次第。
「愛の完成」。亀裂の入りかけた一組の夫婦の会話から小説ははじまる。情景描写が映画的(というよりは映画のカメラワーク的)だなあと感じた。じっくりとある一点を描いているかと思えば少しずつ、あるいは大胆に視点がずれて、気づけばほかの部分について語りはじめている。あるいは、具体的な描写がいつの間にか抽象的な世界に切り替わっている。そこに比喩が混じるのだから、文章はかなり複雑。
- 作者: ムージル,Robert Musil,古井由吉
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1987/12/16
- メディア: 文庫
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