敬愛する大詩人・伊藤比呂美ねーさんの、エッセイ(のようなもの。私小説とも読めるな)+お経の現代語訳からなる、不思議な作品。最近は朗読会にも顔を出せていないのだけれど、訳経(なんて言葉はないと思うが、つくった)を読むことが多いようだ。
最初の作品、「読み解き「懺悔文」」。「さんげもん」と読む。経典の知識がないからとにかく新鮮。一方で、伊藤比呂美という詩人がどんな人生を歩んできたかはある程度作品を通じて知っているから、知っていることと知らないことが妙な感じで入り交じる感覚もまた新鮮に思えた。ただひたすらに、これまでの人生を悔やみつづける作者の姿勢はあまりにも後ろ向きで読んでいてつらくなってくるのだが、訳された「懺悔文」は作者の生き方そのものが投影された文体および内容であるにも関わらず、不思議と突き抜けた感覚、そうだ極楽にまで突き抜けたような感覚がある。救いとは、こういうことをいうのだろうか、と少々論理的に断絶したことを考えてしまった。
- 作者: 伊藤比呂美
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2010/01/08
- メディア: 単行本
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