わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

古井由吉『水』読了

「谷」。死との向き合い方。あるいは、中途半端な生との向き合い方。
 各短篇に共通する明確なテーマがあるわけではないので総論的には語りにくいが、生が内包する危うさ、そして生と死の、あるいは正気と狂気の境界線を、目隠ししたままあぶなっかしいバランスで歩いて行くような感覚に溢れた作品ばかり。昭和四十六年発表の短篇集だが、現在の作風にかなり近いな、と思った。

水 (講談社文芸文庫)

水 (講談社文芸文庫)

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