「谷」。死との向き合い方。あるいは、中途半端な生との向き合い方。
各短篇に共通する明確なテーマがあるわけではないので総論的には語りにくいが、生が内包する危うさ、そして生と死の、あるいは正気と狂気の境界線を、目隠ししたままあぶなっかしいバランスで歩いて行くような感覚に溢れた作品ばかり。昭和四十六年発表の短篇集だが、現在の作風にかなり近いな、と思った。
- 作者: 古井由吉
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1994/04
- メディア: 文庫
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