初期短篇集。名作「アメリカン・スクール」「吃音学院」も収録。
「小銃」。『小説の誕生』で保坂和志が絶賛していた作品。確かにその通りだと思った。小銃の扱いを通じて主人公の軍人としての生き様が描かれているが、その描き方、というか、小銃から主人公、小銃から主人公が思いを寄せていた年上の女性、小銃から小隊の班長、小銃から射殺してしまった中国人の女、と描写がにょろにょろ移り変わっていく、そのモーフィング変形みたいな文体と文章構造が、なんだこりゃ、と知らぬ間につぶやいてしまったくらい特異。ひょっとするとこの作品、大岡昇平の『野火』を超える戦争文学作品なのではないか、とまで思ってしまった。
- 作者: 小島信夫,千石英世
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