わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

小川国夫「光岳」(てかりだけ)

「群像」5月号掲載。小川国夫の遺稿の一部が掲載されている。ヒジョーに読みにくくて、まだあまり読めていないのだが、それでも妙なリズムと観察眼は存分に楽しめてしまった。書き出しの一部、引用。

 清兄の身内をさがし廻った若い衆は、引き抜いた薄のくきを噛んで、線路のふちから谷へ降りて行く。
(中略)
 桧さんは、そのずっと手前の、しのぶのついた大木の根かたで、用を足す。
 レモネードがとび出して、かきわけたしだをぬらし、やがて中空に出て、さんさんと谷におち、近づいて、またしだの表を打ち、少したび靴におち、一きわ黒くしみ込んで、了り。
 と思ったら、桧さんの腰のあたりから身振いがおこって、ポトポトとアンコール、あとはせいせいして、仕舞って、ボタンをかけながら、そこらを見廻す。

 なんなんだ、この馬鹿丁寧でいきいきとした立ち小便の描写は。

群像 2010年 05月号 [雑誌]

群像 2010年 05月号 [雑誌]

虹よ消えるな

虹よ消えるな

小川国夫の作品はこちら。『止島』はよかったなあ。これが遺作だと思ってた