「群像」5月号掲載。小川国夫の遺稿の一部が掲載されている。ヒジョーに読みにくくて、まだあまり読めていないのだが、それでも妙なリズムと観察眼は存分に楽しめてしまった。書き出しの一部、引用。
清兄の身内をさがし廻った若い衆は、引き抜いた薄のくきを噛んで、線路のふちから谷へ降りて行く。
(中略)
桧さんは、そのずっと手前の、しのぶのついた大木の根かたで、用を足す。
レモネードがとび出して、かきわけたしだをぬらし、やがて中空に出て、さんさんと谷におち、近づいて、またしだの表を打ち、少したび靴におち、一きわ黒くしみ込んで、了り。
と思ったら、桧さんの腰のあたりから身振いがおこって、ポトポトとアンコール、あとはせいせいして、仕舞って、ボタンをかけながら、そこらを見廻す。
なんなんだ、この馬鹿丁寧でいきいきとした立ち小便の描写は。
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