岩波の「ことばのために」シリーズの最終巻。アンソロジーです。気になっていた本なのだが、散歩中に気まぐれで通りかかった西荻の古書店「音羽館」で見つけ、パラパラと読んで、気に入ったので購入。近作では『テクストから遠く離れて』がすさまじくよかった評論家の加藤典洋によるまえがき、一部引用。
荒川洋治が近代史の始まりから現代詩の突端までを彼の選んだ詩論と詩でたどっている。読むとよろける。
関川夏央が近代小説の最大の傑作の一つを、これを痛快な物語とする従来の説から自由斬新に一つの敗北の物語として読み解いている。
高橋源一郎が現時点で一番新しい文章はこれ、と言うところから一番最後の文章はこれ、というところまで百メートル走のスピードで踏破した。
加藤(引用者注・加藤典洋)が戦後最大の文化象徴をテクスト論的アプローチを駆使して解析している。
そして平田オリザが近代演劇がどこでどのような「革命」をへて現在にいたているかを、十ばかりの結節点をあげたうえ、刮目すべき平明さ、明晰さで説いている。
これ読んだら、文学好きならだーれだって買っちゃうよなあ。え、そんなコトはない、ですか? ああ、そうですか。失礼。
「ことばのために」シリーズはこちら。Amazonでの検索結果にリンクはってるだけなので、オフコースのCDとかも混じってますが(笑)。- 作者: 加藤典洋
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/01/17
- メディア: 単行本
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