わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

小島信夫「星」読了

 初期短篇集『殉教|微笑』より。第三章は、終戦直後。米軍の船にのって日本に戻る主人公たちの襟章が、米兵たちによって奪われる様子が描かれている。襟章にある星へのこだわり、あるいは階級という制度や価値観が、グラングランに揺らいでしまう。それでも主人公は、まだなお階級制に、正確には襟章の星の数にこだわりつづける。
 戦中戦後の閉塞感を、軍隊の階級を利用して巧みに語った傑作。

殉教・微笑 (講談社文芸文庫)

殉教・微笑 (講談社文芸文庫)

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