わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

中上健次『現代小説の方法』

 自分のあり方に迷ったり自信がなくなったり、というときに、自然に手が伸びる作家。それがぼくにとっての中上健次。とくに『岬』『枯木灘』は繰り返し読んでいる。作品にぼくを元気づけるようなメッセージがあるわけではないし、そんなものなどハナッから求めてもいない。ただ、作品世界に溢れるエネルギーが、猛烈に欲しくなる。それさえあれば、なんとかなるような木がしてくるのだ。
 本作、1984年ごろに書店の企画で行われたらしい中上の小説講座を一冊にまとめた作品らしい。半分くらいまで一気に読んだ。しゃべり言葉をそのままテープ起こししただけの内容なので読みづらいのだが、それでも十分に中上の小説に対する想いや視線、思想が伝わってくる。本作を読んでから秋幸の三部作(特に『地の果て 至上の時』)や路地を舞台にした作品を読み直すと、中上が作品内に仕掛けたことがどんどんわかっておもしろい…のかもしれない。

現代小説の方法

現代小説の方法

枯木灘 (河出文庫 102A)

枯木灘 (河出文庫 102A)

岬 (文春文庫 な 4-1)

岬 (文春文庫 な 4-1)

地の果て 至上の時―中上健次選集〈10〉 (小学館文庫)

地の果て 至上の時―中上健次選集〈10〉 (小学館文庫)

千年の愉楽―中上健次選集〈6〉 (小学館文庫)

千年の愉楽―中上健次選集〈6〉 (小学館文庫)

中上健次の作品はこちら。