今回のタイトルは「孤独と他者」。ひとまず前半だけ読んだ。「世界を全体として把握するのは孤独者だけだ」という書き出しにいきなり先制パンチを食らわされた。個=孤独(って理解はちょっと違うような気もするが)を自覚することによってはじめて外部=他者を認識するということになる、ってのはカント以降いろんなカタチの思想になって語られてきた。これを戦前から戦後にかけてのヨーロッパ(主にドイツの)思想と、孤独の本質を突いている日本文学の名作とを結びつけることで新たな発見をしようという試み、なのかな。エマニュエル・レヴィナス『時間と他者』の引用は刺激的だったなあ。
すべてをその普遍性のうちに包括することによって、理性は再び孤独のうちに自分自身を見出すのである。独我論〔唯我論〕は、錯誤でも詭弁でもない。それは、理性の構造そのものである。
普遍性は主体(自分自身)から理性を奪うが、世界全体を普遍性という認識で包括することによって、主体=自分自身=独立した個は再び理性を得ることができる。だから独我論は理性に基づいた論理である……ってことなのかな? 『時間と他者』、読んでみたくなったなあ。
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/10/07
- メディア: 雑誌
- 購入: 1人 クリック: 10回
- この商品を含むブログ (18件) を見る
- 作者: エマニュエル・レヴィナス,原田佳彦
- 出版社/メーカー: 法政大学出版局
- 発売日: 1986/01
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 5回
- この商品を含むブログ (7件) を見る