「群像」1月号掲載。感想文白紙提出事件を、教師側と生徒側、両方の面から描くことで物語に厚みが出ていると思った。
帰宅部の連中が体育会の連中に対して感じるコンプレックスが、うまく表現されていた。ちょっと引用。こんな描写が挟まっているからこそ、学校側が主人公たちの存在を取り立てて求めていないことが際立っている、ような。ここでいう「真面目な人間」とは、体育会に所属し練習に励む主人公たちの同級生のこと。
(前略)真面目な人間というのは群れるものなのかもしれない。そういう生徒が同級生に使い走りをさせたりもする。徹も学校の近くのコンビニに行かされたことがある。だが毎日こうして深刻な表情で体を鍛え上げるのは、どう考えても真面目な行為だった。使い走りは、闘いに備えて訓練を積む位の高い兵士に使えている者としての役割だ。絶対に無理だが、ありがたいと思わなければならないのだろう。やがてしあいの場に立ち、伸縮し、ねじ曲げられ、敵とぶつかりあい、蓄えた力を使い果たす。そんな過酷な体験をしなくてすむ相澤や自分は感謝すべきだ。真面目に体を痛め痛めつけるる人間への。幼稚な嫉妬を骨組みとする感謝。
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