六時起床。今年一番の冷え込みになりそう、と散々天気予報に脅されていたのでしっかり対策をしておいたせいだろうか、寒さで起きられないということはなかった。いや、猫たちの様子が気になっているので寒さどころではない、というのが本当のところなのかもしれない。麦次郎、嘔吐こそないが若干調子が悪そう。花子は麦が気になっているのか、それともほかの理由なのかはまったくわからないが、朝からハイテンションで騒ぎつづけている。
八時。例によってカミサンが麦を連れて病院へ。ぼくは掃除と仕事。きりのいいところで外出。といっても、事務処理のための銀行回り。地元だ。
幾分強めの、鋭い冷たさを伴う風が時折吹き抜ける。しかしそれは長くつづかず、無風になると日向にいれば春のような陽射しの暖かさ、そして柔らかさを感じる。だがこれもまた長くはつづかない。
午後からは書斎にこもってひたすら作業。某健康食品メーカーのリーフレット。なかなか構成が固まらず苦戦する。ところが、イメージの掴めぬままスタートしてしまったら急に構成が見えてきた。不思議だ。
十九時、カミサンと一緒に麦を迎えに行く。西の空にペーパームーンが浮かんでいる。金色の、極細の光。夜を照らしきるほど明るくはない。だが、見える。はっきりと見える。月は自ら発光するのではなく太陽光を反射しているだけだというのに、その光は不思議と強く、そして逞しい。
血液検査、またもや数値が悪化。だが、なぜか表情が昨日より和らいでいる。腕に付けっぱなしになっている点滴の針(正確には柔らかくて細い管なのだそうだが)も嫌がらなくなった。自分のおかれている状況や動物病院に連れてこられる意味を、なんとなく感じ取ったのかもしれない。こういうのを、生きる意志、というのだろうか。