失踪した夫の記憶、今の生活、幼かった娘の記憶、今の娘……過去と現在が交錯してゆくのだが、どういうわけか、混じり合った部分に大きな空白ができているような印象。いや、空白は主人公の人生全体に存在している。あらゆる経験が、空白のなかに漂う浮遊物のように描写され、語られている。読めば読むほど、落ち着かなくなる小説。これは一種のナルシシズム、あるいは自己憐憫なのかもしれないと思った。
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