ぷちぷちを連れて病院に行く電車内で、iPod Touchにインストールした青空文庫版を読んだ。今読むと、とんでもなく実験的な作品。断片を断片のままさらけ出すことで、全体像をつくろうとしている。狙いはもちろん、その全体像を曖昧にすることだ。曖昧な世界とは、あるいは、世界を、そしてそこにいる自分自身を曖昧な存在にしてしまうということは、芥川の、人生に対する一番の願いだったのかもしれない。彼が生前感じていた「ぼんやりした不安」は、曖昧さから発生していたわけではない。一つ一つは小さいが強烈な何かが一気に押し寄せることで、全体像が巨大化し過ぎてしまい、曖昧なものへと変質していったのではないだろうか。そんなことを考えつつ読み終えた。
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