震災と言葉について。
震災直後はぼくの住む東京も(東北ほどではないにせよ)被災地の一部のように感じられていたが、あっという間にその雰囲気は消えてしまった。それ以降、報道、ネットなどを通じて被災地から届く言葉に対してどう向き合えばいいのかがさっぱりわからなくなっていた。例えば和合亮一さんの一連の詩作だ。あれを読んで、被災していないぼくは何を感じ、どんな言葉を発し返せばいいのだ?
募金などの活動は今も細々とつづけているし、被災地以外への募金も細々とやっているのだが、その事実と、自分が福島や石巻などとどう向き合うべきかという問題がまったくつながらない。地震発生直後に日本全体をつつんだ連帯感はたちまち消滅し、原発問題への批判・反対運動と、トーンダウンしつつも展開されつづけているボランティア活動という善意、その両方に対して、どう思い、どんな行動をすべきか、答えが見つからない。気づけば、考えることをやめている…。当然、そこから言葉は消えている。
だが高橋さんは、この感覚をロジカルに作品としてまとめてくれた。まあ、これを読んだからといって、自分の中にあるおかしな感覚が消えることはないのだが。そしてそんなことを本作に求めているわけでもない。といいつつも、次号にも期待。
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/06/07
- メディア: 雑誌
- クリック: 13回
- この商品を含むブログ (26件) を見る