4章目「『平家』の首」。平家物語についてが語られる前に、延々と語り手自身の胃潰瘍手術の体験が語られる。胃の上部を切除してひっぱり上げて食道につなげる大手術で、首のまわりについた手術痕が、ちょうど生首のように……と書いておきながら、自分の首とこれから書こうとしている平家物語の「首」とはまったく関係がない、と断言している。まあ、ふざけているんでしょうねえ。こういう書き方をされると、読み手は因果関係や隠された意図をつい深読みしたくなる。そこには本当にそんなものはなかった、としても、だ。
- 作者: 後藤明生
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1999/10
- メディア: 文庫
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