わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

後藤明生『首塚の上のアドバルーン』

 4章目「『平家』の首」。平家物語についてが語られる前に、延々と語り手自身の胃潰瘍手術の体験が語られる。胃の上部を切除してひっぱり上げて食道につなげる大手術で、首のまわりについた手術痕が、ちょうど生首のように……と書いておきながら、自分の首とこれから書こうとしている平家物語の「首」とはまったく関係がない、と断言している。まあ、ふざけているんでしょうねえ。こういう書き方をされると、読み手は因果関係や隠された意図をつい深読みしたくなる。そこには本当にそんなものはなかった、としても、だ。

首塚の上のアドバルーン (講談社文芸文庫)

首塚の上のアドバルーン (講談社文芸文庫)

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