わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

バリー・ユアグロー/柴田元幸訳『真夜中のギャングたち』

 ヤクザや殺し屋ばかりが登場する掌編小説集。
 1章目、11編。章のタイトルは「ブーゲンビリア」。1つめの掌篇のタイトルがそのまま招待トルになっている。都会の大組織に属するヤクザが南国の雨ミップ地にある田舎のヤクザに痛めつけられ、仲間を呼び寄せて何度も報復するが、絶対に勝てない……そんな話だ。終わるあてのない悪行、連鎖する業苦。そう書くとドロドロしているようだが、軽妙な文体と目まぐるしく移動する視点のせいだろうか、流動的で、おまけにからりと乾燥している。登場人物が痛い目にあおうと、大量の血が流れようと、人が死のうと、無慈悲なほどに作品世界はクールだ。そして運命論的な意外性に満ちている。ヤクザの宿命、といおうか。
 何編か読んだが、みんなこんな感じ。

真夜中のギャングたち

真夜中のギャングたち

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