わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

古井由吉『蜩の声』

「時雨のように」。身内をあの世に送り出す者の心理を、すぐ隣りに「愛欲」を置きながら表現している。身内との死別は、生の原動力のひとつである愛欲を容赦なく突き放す。いや、送り出す者は突き放さなければ、と思い込んでしまう。その歪みが、二七日、四十九日と過ぎるにつれて、奇妙な形の愛情表現、あるいは別離となって現れる。

蜩の声

蜩の声

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