わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

藤枝静男「悲しいだけ」

「群像」12月号掲載。戦後文学特集。この作家ははじめて読んだ。物質的なもの以外は何も信じないという現代的な考え方と、愛する妻の死を悲しんだり先祖の霊に畏敬し謝罪したりする霊的・宗教的な考え方とが静かにせめぎ合っている。自身の気持ちが揺らいでいるから、世界がわからない。未来がわからない。それを語り手は「悲しいだけ」と表現する。この閉塞的な雰囲気は、この作品が書かれた1970年代という時代に固有のものだったのだろうか。

群像 2011年 12月号 [雑誌]

群像 2011年 12月号 [雑誌]

悲しいだけ・欣求浄土 (講談社文芸文庫)

悲しいだけ・欣求浄土 (講談社文芸文庫)

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