わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

金井美恵子『ピース・オブ・ケーキとトゥワイス・トールド・テールズ』

「風」「草」「光」。この作品は長編ではなくおなじ世界観、おなじ設定のもとで描かれた連作短篇と捉えるべきだと考えていたが、半分を読み終えて、やはりこれは長編なのだとよくわかった。行ったり戻ったり、時には反復や省略もされる決して直線的にならない展開は、実験的ではあるのだが、重層的に人の記憶を描いていくにはもってこいの描写手法なのかもしれない。その、重層的に描かれる世界が、読みすすめるほどに、少しずつ、少しずつ、物語として像を結んでゆく。

ピース・オブ・ケーキとトゥワイス・トールド・テールズ

ピース・オブ・ケーキとトゥワイス・トールド・テールズ

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