カフカの『変身』というフィクションにのめり込むあまりに、そしてその作品世界をモチーフにした音楽を追求しつづけたジャズマンの謎を追い続けたあまりに、現実とフィクションの境界線がなくなり、自分の記憶が真実なのか虚構なのか、いや、自分が真実の存在なのか、虚構の存在なのか、それすらわからなくなっていく……そんな悲劇が、音楽を軸にして語られていく。いわゆるベタな感動はない。ベタではない感動もない。だが、引き込まれる。引きずり込み、そのままなかなか放してくれない。アリジゴクのような作品だった。
昨日の日記には「まとまりそう」と書いた。だが、ラストでは何もまとまらない。むしろ、物語であることを放棄しるような幕引きだった。
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