母も家もない幼い子供たち、彼らを無理やり我が子にしようとする出戻りの女、子供たちをじっと見守る十歳の少女・信子、そして子供たちを街に送って保護させようとする大人たち。子供たちは狂気と悲しみに襲われて無となり、大人たちは憎悪と憐憫の間で揺れながら、子供たちとの距離を探る。この微妙な内容を、会話や心理描写に頼ることなく、丹念に、そしてコンパクトに描ききっている。
これ、戦後短篇小説の傑作だと思う。なんで話題にのぼらないんだろ…。
- 作者: 古井由吉
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1988/01/26
- メディア: 文庫
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