「群像」11月号掲載。小説に書かれるシンギュラリティー(特異性)、その先にある、作者すらも気づいていなかったかもしれぬ普遍性を読み取り、顕在化までの経緯を鮮やかに描き出すこと、それこそが批評の役割なのだ、と大澤氏は説く。ぼくが惹かれる小説は、奇妙極まりなく、どこか突き抜けていて、何か重要な価値や真理にギリギリ触れているような内容のものなのだが、最近はなかなかそんな作品に出会えない。むしろ大澤氏や鷲田氏、三浦雅士氏、加藤典洋氏といった方々の評論を読み散らかすほうが、突き抜けた感じがしてエキサイティングだったりする。というわけで、最近はなかなか気持ちが小説に向かわない。といってもまあ、それなりに読んでるけど。作家は以前よりだいぶ絞られてきたかな。