元博報堂で、現在はno problemという広告制作プロダクションの代表を務めるコピーライター/クリエイティブディレクターであり、広告学校も主催している小霜和也さんの『ここらで広告コピーの話をします。』を出版を記念してのセミナー。この本、副題が「コピー1本で100万円請求するための教科書。」したがって、セミナータイトルも「コピー1本で100万円請求するためのセミナー」だった。(笑)(笑)(笑)
…と、笑ってはいられない。コピーライターの現在の経済的状況を「格差社会」だと小霜さんは嘆く。確かに、一部のタレント化したコピーライターと、その他大勢の差は広がるばかり。ぼくは独立してやっているものの、広告よりSPに比重を置いており、マーケティングプランナーとしても動いて、やっと自分の会社を維持できているような状況。要するに、その他大勢の方の構成員だ。ならば、そのその他大勢は今後どうしたらいいのか。小霜さんは、二つの道を提示してくれた。一つは、タレントコピーライターになる。そしてもうひとつは、これは小霜さん自身が選んだ道でもあるのだが、「お金をもらえるコピーを書くこと」。と書くとイヤラシイ感じがしないでもないが、そんなことはない。職業人としてごく真っ当なことだ。
小霜さんはお金をもらえるコピーの条件として、以下の三つを挙げている。
①商品価値を高めるもの
②独自のアイデアがあるもの
③努力の跡が見えるもの
価値とは人が決めるもの。そして、伝わらなければ価値はないが、伝えたからといって価値が上がるとは限らない。この「伝える」を通じて商品価値を高めることこそコピーライターの使命なのだ! そのためには、ターゲットが価値を感じるような表現を生み出すことが絶対的に必要、と小霜さんは力説する。そして、その事例としてご自身が関わったヘリオス社のコーポレートスローガン開発について説明してくれた。ここで、NGコピーの例を書いたとしてさらし者にされてしまった、小霜さんの広告学校の生徒である大学生が登場。スケープゴート役、ということでヤギのコスプレをしていたので会場が爆笑! それはさておき、論理的かつ論理を飛躍しアイデアを一気に「価値あるコピー」に高める手法は、先日の磯部光毅さんのセミナーでの主張と通じるところがある。
小霜さんの姿勢には大いに共感できる。この人は、優れた職人であり商売人なんだなあ。自分と通じるところを見つけることができたのでとてもうれしかった反面、自分には到達できていないクオリティと価値も生み出しているわけで…初心に還ることができた、有意義な90分だった。明日から生まれ変わったつもりで頑張りつづけます。
↑わかりにくいけど、向かって左側の女の子がヤギコスプレ。小霜さん、ものすごくiPS細胞やSTAP細胞に詳しかった。
※一般的な宣伝会議主催のセミナーはSNSやブログでの講義内容の情報発信は禁じられています。今回は特別に「公開OK」ということなので、概要をアップしました。