わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

古井由吉『円陣を組む女たち』

 古井さんの初期短篇集。古本でけっこうな値段(といっても文庫に1,000円とか、そんなレベルだけど)を払って手に入れた。
「木曜日に」。これが処女作らしい。一人での登山中に記憶を失っていた男の、違和感が、そして心の狂いが、木曜日ごとに深まり、ずれ、こじれていく。文体も今に通じる部分があるようで、ものすごくおもしろい。戸の木目を描写したシーンはベテラン作家のような円熟ささえ感じる。

円陣を組む女たち (中公文庫 A 25)

円陣を組む女たち (中公文庫 A 25)

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