「砂の粒」。語り手の幼い頃にあったらしい、父の浮気と両親の結婚生活の危機を、子どものおぼろげな記憶の行間から描き出している。その体験は、作中に登場した砂っぽいエビのように、じゃりっとしていて、いつまでも記憶の中に、口の中に入ってしまった砂粒のように、いつまでも不快なまま残るのだろう。

砂の粒/孤独な場所で 金井美恵子自選短篇集 (講談社文芸文庫)
- 作者: 金井美恵子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2014/10/11
- メディア: 文庫
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砂の粒/孤独な場所で 金井美恵子自選短篇集 (講談社文芸文庫)