わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

諸星大二郎『マッドメン』読了

 読了って言っても、何度も読み返してるんだけどね。
 パプアニューギニアの民族伝承と、日本のイザナギイザナミ神話をシンクロさせ(ニューギニアのほうは本当の伝承じゃなくておそらく作者の創作だと思うけど)、人類の起源に迫ろうとする人類学的ロマン大作、なんてまとめることが馬鹿馬鹿しくなるくらい、本作はすさまじい。神話世界をどこまでも拡大させつつ、最後には物語としてしっかり収束させている。そして、人間とは何か、文明とは何かという問題をしっかり読者の頭の中に残していく。
 読者アンケートに連載の可否が左右されてしまう現代のマンガにおいて、理想的な形で物語が終わるケースはほとんどないんじゃないかな。浦沢直樹あたりは別にしても。あの「ドラゴンボール」も明確なラストはないわけだし(悟空がチチと結婚して武闘会の会場を去るシーンが1つの区切りではあったけど)。ぼくが、見事に作品世界を終わらせていると感じているマンガは以下の通り。他にもあると思うけれど、ラストシーンが忘れられないのはこれくらいかな。「サイボーグ009」は、「地下帝国ヨミ編」で一度完結した、と考えれば、あのラストは本当に見事。マンガ史に残るよね。

  

 

暗黒神話 (集英社文庫―コミック版)

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手天童子 (2) (講談社漫画文庫)

手天童子 (2) (講談社漫画文庫)

 

 

 

 

サイボーグ009 [カラー完全版] 1966-67 地下帝国ヨミ編
 

 

 

 

 

マッドメン

マッドメン

 
MUD MEN 最終版 (光文社コミック叢書SIGNAL)

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マッドメン―完全版 (ちくま文庫)

マッドメン―完全版 (ちくま文庫)