わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

城山羊の会「水仙の花 narcissus」 三鷹市芸術文化センター 星のホール

 ソフトバンクのお父さん犬のCMを手掛ける山内ケンジ氏の演劇プロジェクト(って認識でいいのかな)。年に二回くらい公演を行っている模様。前回観た時は、導入部はおもしろかったのだが途中で体調不良になり退席してしまったんだよねえ。

 ある日、道端に倒れていた女性(松本まりか…本業は声優らしい)を助けた、妻の四十九日法要を終えたばかりの中年男(吹越満)。女に亡き妻の面影をわずかに感じた男は突如愛欲に取り憑かれ、女子大生の娘は二人の情交を見せつけられて心に深い傷を負い、それを受け入れることができずにサディスティックな傾向を強め、さらには凶行に走ろうとするが……と書くとかなりシリアスな内容に思えるが、奇妙な笑いを誘う小ネタが満載で、息苦しさは感じられない。最初に起こった(ここでは爆笑モノなのだが)ある事件が、実は物語の最後にうまくつながっていき、登場人物たちは終わりなき罪悪感に苦しめられながら生きていくかのような演出も巧み。そしてこの「終わりなき罪悪感」の中にも、それゆえの妖しい快楽が秘められているようで……。ちなみにタイトルの「水仙の花」は、亡き妻の名前が「仙子(のりこ)」だったこと、何度か「水」が重要なアイテムとして登場していること、水仙の花自体も作品内にちょっとした小道具として登場していること、倒れていた女が(劇中では「アソコから」と言わせている。苦笑)漂わせている花の香り……など、さまざまなことが重なりあって生まれたタイトルのようだ。ちなみに、水仙花言葉は、うぬぼれ、自己愛、エゴイズム、そして気高さ。

 かなりアダルトな舞台。露骨ではないが、エロティックなムードに拒絶感を感じないならば、この舞台はかなり楽しめると思う。

 

トロワグロ

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