わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

『金井美恵子自選短篇集 恋人たち/降誕祭の夜』

「夜には九夜」。ある、愛し合うことを忘れ憎しみすら抱くようになった夫婦、今風に言えば仮面夫婦ということになるのか、そんな夫婦が、自分たちの経営するさびれたホテルで、客であり自分たちの今の、あるいはかつての浮気相手の目の前で、青酸カリを使って自らの命を断つ。内容には夢も希望もなく、あるのはただ、相手や社会、そして自分への、憎しみだけ。救いようのない内容だが、救いたくなんてまったくならない設定でもある。そういう作品もガッツリ読ませる作品にきっちり仕上げてしまうのが、金井美恵子金井美恵子たる所以、と言えなくもない。

 金井さん、ツグミは禁漁ですよー(by雁屋哲

 

 金井美恵子の作品はこちら。