わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

大澤真幸「〈世界史〉の哲学」

 群像2016年7月号掲載「近世篇29 狂気の理性」、同8月号掲載「近世篇30 万有引力と最後の魔術師」。一気に読んでみた。

 中世までは狂人たちと健常者が共存する社会が成立していたが、近世になると狂人は特別視される。そこには排除と神聖化が共存している、という説から、フーコー、デリだを巻き込みながら、錬金術、そして近代科学の成立へ。近世って信仰、哲学、科学、政治が分離していった時代と解釈できるから、ということで、近世篇30はニュートン力学と神の存在の関連性について論じている。実はニュートン力学は、根本的な部分で神の存在と(物質世界への)干渉を前提としているという考え方は非常にショッキングだったのだが、でも納得。万有引力という考え方に実は論理的な根拠がない、だから神の見えざる力を前提にせざるを得ない……この一点を除けば、アインシュタイン相対性理論が登場するまでは完璧な理論であるわけで。

 

群像 2016年 08 月号 [雑誌]

群像 2016年 08 月号 [雑誌]

 
群像 2016年 07 月号 [雑誌]

群像 2016年 07 月号 [雑誌]

 

大澤真幸の作品はこちら。