「群像」2018年3月号掲載。
資本が資本を生み、概念が概念を生む、という近代を読み解く鍵となるこの循環構造をベースに、小説という文学形式の誕生と確立について考察している。だがダイレクトに小説論に行くのではなく、途中に、清教徒たちの「日記」の習慣についてを、そしてこれと結びつけるようにして、近世篇で登場した王の身体の二重性ともリンクする概念「剰余権力」について考察している。そのトリガーになるのが、フーコーの『監視と処罰(監獄の誕生)』。ここに登場する監視塔の事例とその構造から、近代的な権力構造や社会構造とは何か、考察を進めている。その先にあるのが、小説という形式だ。構造という言葉を使っちゃったけど、小説は文学形式としては、構造だけで語れるわけではないんだよね。だからここでは不適切かな。
- 作者: ミシェル・フーコー,Michel Foucault,田村俶
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1977/09/01
- メディア: 単行本
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