「群像」2019年2月号掲載。短篇特集「文学にできることをⅡ」の一篇。
おそらく設定されている時間は遠い未来。といってもSFではなく、言葉からあらゆる無駄が淘汰された時代に生きる語り手が、過去の言葉、つまり現代を生きる我々が使っている言葉で、言葉の変容とそれにともなって生じた社会構造や科学技術の変化・進化を語る、という内容。言語学のような、現代思想のような、不思議な内容。
…結局、言葉とともに生きるぼくたちは、意味を捨てるなんてことはできない。しかしその一方で、恣意的に解釈するという身勝手な行為を通じて、さまざまな言葉の意味を破壊しつづけ、新たな意味を、好き勝手に創出しつづけている。言葉って、なんなんだろう。