「群像」2020年4月号掲載の新連載評論。大江の神話的でありながら知的な裏付けのある「谷間」の世界観は、確かに柳田の影響を受けているのかもしれない。『万延元年』やぼくの好きな『懐かしい年への手紙』のギー兄さん、『燃え上がる緑の木』の新しいギー兄さん、そして晩年シリーズのギー・ジュニアと、姿や設定を変えて繰り返し登場する「ギー」という人物は、大江の父が愛した書物から拝借した「義」であり、柳田の「ギ」でもある…という仮説、かなり理にかなっていると気がする。もちろん大江さん自身は無意識なのだろうが。
「群像」2020年4月号掲載の新連載評論。大江の神話的でありながら知的な裏付けのある「谷間」の世界観は、確かに柳田の影響を受けているのかもしれない。『万延元年』やぼくの好きな『懐かしい年への手紙』のギー兄さん、『燃え上がる緑の木』の新しいギー兄さん、そして晩年シリーズのギー・ジュニアと、姿や設定を変えて繰り返し登場する「ギー」という人物は、大江の父が愛した書物から拝借した「義」であり、柳田の「ギ」でもある…という仮説、かなり理にかなっていると気がする。もちろん大江さん自身は無意識なのだろうが。