わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

西荻テイクアウト。一ひねりの工夫と、当然のうまさと。

 五時四十分起床。雨。早朝からせっせと仕事。妻は今日が高円寺「猫の額」での個展の最終日。この状況にもかかわらず好評で、来場者数こそ少ないが通販でかなりの方が作品を購入されたとのこと。ありがたい限りだ。

 夕方、喘息の通院でクリニックへ。相変わらずガラガラ。深刻な症状のない高齢者が来なくなっているからだろう。

 夕方は西荻駅前まで足を伸ばし、以前よく通っていた「欧風料理 華」でテイクアウトのパエリアと前菜盛り合わせを購入。最終日を終えた妻がささっとつくってくれたサラダと一緒に食べた。「華」の料理はスタンダードな感じではあるが必ず一ひねり加えてあって、食べていてとても楽しい。そして、もちろんだが、うまい。

 

 読書は尾崎真理子「ギー兄さんとは誰か 大江健三郎柳田国男(2)」(「群像」2020年5月号掲載)。短期集中連載の評論。長い、ということもあるが、この評論で取り上げている『懐かしい年への手紙』は、大江作品のなかでいちばん好きなので、じっくりと読んでいる。物語のエンジンとなっているギー兄さんというキャラクターが柳田/ヤナギダの「ギー」という推察は面白い。この作品で描かれている民俗学的な設定や谷間の村の描写は柳田の愛した農村を思わせるようだし(ぼくは柳田国男を、引用でしか読んだことがない…)、作品の随所に柳田の文章が引用されている。

 

 

大江健三郎『懐かしい年への手紙』。この作品のラストの描写の美しさといったら…!

 

 

こちらは『同時代ゲーム』。この作品も「ギー兄さんとは誰か」で積極的に取り上げられている。ここで展開された「ウソツキ」の主人公による村の歴史は柳田に、そして『懐かしい〜』に根底の部分でつながっている。