「最初のデトックス」。急性アル中と錯乱状態とで入院した主人公の女性教師の、病院での断酒の一週間。これから帰宅するというタイミングでの、いつもの生活の回想、そしてわずかな悔悛、あるいは自分自身への疑念。この文章が、ルシア・ベルリンの作品の本質が凝縮されているのではないか、と思った。引用。
息子たちと校長のマイラだけが本当の入院先を知っていた。彼らは理解者だった。だいじょうぶ。全部うまくいく。じっさい、いつも何とかうまくいっていた。彼女はいい教師だったし、ふだんはいい母親だった。狭い家は宿題と本とケンカと笑いであふれていた。家事はみんなで手分けした。