「群像」2020年10月号掲載。
ある劇団のメンバーに次々と恋させてしまうが、本人は大変な状況を生み出していることを気にせず自由奔放、そして実は人を好きになったことはないのではないか、それどころか、行動のすべてが演技、本心を常にさらけ出すようにして隠しているのではないか、と思わせる女性、ヒカリ。彼女に翻弄された劇団員たちが十数年後(?)にその頃の体験を手記にする、という内容の連作小説、第三回。
性行為を人間関係の構築に利用していたが実は本気で人を好きになったことのない女・朝奈が、ヒカリと友情をはぐくむが、それはやがて片思いへと進展していく。この、不思議な二人の対比。