わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

怒っているつもりがなくても

 五時四十分起床。宮澤エマちゃんの夢を見たが、内容はさっぱり覚えていない。

 仕事。日差しは強くなってすっかり夏めき、湿度も高い。書斎の窓を開けたまま手を動かしていたのだが、マンションの前の道路が水道管だかガス管だかの工事でアスファルトをほじくり返す音がけたたましい。不慣れな作業員がいるらしく、時折ではあるが怒号も聞こえる。もっとも、叫ばなければそばにいる人にすら声が伝わらないほどの騒音だ。怒っているつもりがなくても、そんなトーンにはなりがちだろう。

 パンで昼食。妻が買ってきてくれたドイツパンが、先日つくってくれた杏ジャムとの相性がいい。パン屋のおじさんに、ジャムと相性がいいものを勧めてもらったのだそうだ。

 夕方、資料を買いに吉祥寺へ。慌ただしかったのでどこにも立ち寄らずまっすぐ帰宅し、その資料に目を通しはじめた。

 

 リービ英雄「A child is born」(「群像」2021年7月号)読了。漢民族の友人の運転でチベットの山道をぶっ飛ばす自動車、アメリカの高齢者向け施設で暮らしていた母の死、その母が台湾在住時代から大切にしていた観音像、そしてチベットで訪れた寺院の片隅に置いてあった、生まれながらにあなたが生き仏ですと言われて育てられている幼い子どもが使ったらしいクルマのおもちゃ、こういった要素が、どこに行っても異邦人な主人公の言語世界のなかで、不思議なかたちでつながっていく。そのつながるさまが、ぼくたちには到底体験できないものでありながら、実は誰もが体験していることとそれほどは変わりがない、そんな不思議な読後感に襲われた。