「群像」2022年11月号掲載。章タイトルは「手を作ること」。人は外的な存在の、心理的・思考的な面はもちろんのこと、身体的・感覚的な面も理解したり共有したりはできない。だが、その状況に近づくことは可能だ。著者はクラゲの生態の不可解さから、自身のテーマである「中枢神経系を損傷した患者のリハビリ医療に関わる現象学研究」へと考察を進め、セラピストたちの、患者に「触れる」という行為における、相互理解のためのさまざまな創意工夫を紹介している。患者に触れるために、事前に手の温度を調整するなどの「手を作る」という行為には脱帽。