五時四十分起床。空模様を気にしつつ身支度やら動物の世話やらをしていると、いつの間にか雨が降りはじめていた。雲の色が重くなり、ベランダの手摺に雨滴がぽつり、ぽつりとつきはじめ、気付けば本格的に降っている。雨音は静かながらも窓を締めている部屋の中にも届き、仕事をはじめると、時折それが篠突く激しい音に変わったりもした。今日の空は不機嫌らしいな、と思っていたが、機嫌が戻ることがなく、午後には雷鳴が轟いたりと、むしろ激しくなる一方だった。だが気付けば朝の身支度のときと同じように、いつの間にやら止んでいる。
仕事。終日、デスクに張り付いてひたすら作業。
夕食は、カルディで買ったハリッサバの缶詰を開けて食べた。ハリッサはチュニジアあたりでよく食べられている唐辛子などの香辛料のペーストで、カルディでは常に店頭に並んでいる。このハリッサをサバ缶にしてしまったのがハリッサバ。ぼくのお気に入りの缶詰の一つだ。カルディにはちょいちょい行くが、常に売られているわけではないので、見かけたら必ず買うようにしている。今日みたいな、雨で家から出るのが億劫な時などに重宝する。まったく缶詰っぽくない。過剰なエスニックさはあまり感じられず、むしろ無国籍な雰囲気すら漂うのは、白米にかけてカレーライス風にしているからかもしれない。

小川哲「小説を探しに行く(11)」(「群像」2025年5月号)。便所サンダル。



