平成10年、だから1998年かな、に上梓された連作短篇集の文庫化。裏表紙にはこう書いてある。
「老耄が人の自然なら、長年の死者が日々に生者となってもどるのも、老耄の自然ではないか。」……主人公の「私」が、未明の池の端での老人との出会いの記憶に、病、戦争、夢、親近者の死への想いを絡ませ、生死の境が緩む夜明けの幻想を語った表題作をはじめ、「祈りのように」「島の日」「不軽」「山の日」など「老い」を自覚した人間のもろさや悲しみと、深まる生への執着を「日常」の中に見据えた連作短篇集。
ここ十年、おなじテーマを追いかけつづけている、ということか。素晴らしい。
- 作者: 古井由吉
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/09/10
- メディア: 文庫
- クリック: 5回
- この商品を含むブログ (23件) を見る