わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

諸星大二郎『栞と紙魚子の百物語』

 ドラマ化もされた好評シリーズの最新刊。諸星大二郎と言えばぼくにとっては『西遊妖猿伝』の作者。もちろん『暗黒神話』や『マッドメン』も大好きなのだが、ウチのカミサンは『妖怪ハンター稗田礼次郎シリーズ』と、本シリーズが大のお気に入り。
 正邪とは何かを神秘的な側面から鋭く描き出す諸星節はトーンダウンし、女子高生オカルトギャグという新領域を開拓してしまった。ばっかばかしいのだが、そのばかばかしさがとんでもない量のオカルト・神秘世界・歴史に関する知識にしっかりと裏付けされている。ベテランでなくては描けないばっかばかしさ。高橋葉介も一時期、猟奇すちゃらかホームコメディ路線を突き進んでいたことがあるが、幻想世界ばかり描いていると、こういうギャグをやりたくなっちゃうものらしい。反動。
 それにしても。『殺戮詩集』に登場する詩人のきとらさんのキャラ設定に、伊藤比呂美の面影を読み取ってしまうのはぼくだけだろうか。きとらは「殺戮詩人」、比呂美ねーさんは恋してセックスして妊娠して出産して育児して離婚して再婚して出産して育児して今は更年期を楽しみにしている「性/生の詩人」という根本的な違いはあるのだけれど、既存の価値観をへいちゃらでぶち壊す作風がなんとなく似ているような。

栞と紙魚子の百物語 (眠れぬ夜の奇妙な話コミックス)

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栞と紙魚子殺戮詩集 (眠れぬ夜の奇妙な話コミックス)

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栞と紙魚子の怪奇事件簿 [DVD]

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コヨーテ・ソング

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