2006-01-16 筒井康隆『脱走と追跡のサンバ』読了 読書日記 パロディのためのパロディ小説。SFの手法をおちょくるという行為は、実はみずからもSFをしなければならないというパラドックス。多元宇宙をおちょくるには、多元宇宙を描かなければならないというパラドックス。そんな行為のつみかさねが、この作品を構築している。で、逆説の集合体が最終的に何を表現するか。それは、作者自身のおちょくりである。いやはや、おみそれいたしやした。読後にさっぱり感動できなかったけれど、おもしろい小説というのもめずらしい。