わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

筒井康隆『脱走と追跡のサンバ』読了

 パロディのためのパロディ小説。SFの手法をおちょくるという行為は、実はみずからもSFをしなければならないというパラドックス。多元宇宙をおちょくるには、多元宇宙を描かなければならないというパラドックス。そんな行為のつみかさねが、この作品を構築している。で、逆説の集合体が最終的に何を表現するか。それは、作者自身のおちょくりである。いやはや、おみそれいたしやした。読後にさっぱり感動できなかったけれど、おもしろい小説というのもめずらしい。