八時。気づけば花子がぼくの後頭部にピタリと腹をつけて寝ている。モゾ、と動くとすぐに起き上がり、ぼくより先に洗面所へ向かった。
風邪気味である。外出せず、家の中で少しだけ仕事をしたり、本を読み散らかしたりした。加藤典洋『テクストから遠く離れて』、谷川俊太郎『シャガールと木の葉』、赤瀬川原平『背水の陣』など。
夕食はキムチ鍋。食べながら「新日曜美術館」を観る。山形の画家・今井繁三郎。鮮やかな色彩感覚。生地山形の雪景色、その白に埋もれた様々な存在を「色」で拾い上げ、愛でようとしているようだ。老いてから手に入れた幼児のような無邪気な線にもまた魅かれる。そして、生から死、そして再生へと至る生涯の作風。