わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

[読書日記]高橋葉介『夢幻紳士 幻想編』

 高橋葉介の作品は中学生のときから大好きだった。この作品は、氏のライフワークである「夢幻紳士」の最新版。これまでの高橋作品にはなかった構成の緻密さを感じた。ちなみに、主人公の夢幻魔実也は三人いる。昭和・戦前の日本で猟奇事件や超自然事件を解決する少年探偵・魔実也。おなじく昭和・戦前の日本で冒険活劇を展開する頭脳明晰、運動能力抜群、そしてお人よしの少年探偵・魔実也。三人目が、舞台はやはり昭和・戦前の日本なのだが、幽霊と話すなど霊的な能力を持ち怪奇事件を次々と解決する青年探偵の魔実也だ。本作品の魔実也は三人目である。二人目の魔実也は作者が途中からギャグ路線に目覚めてしまった結果、壮大な戦前探偵冒険ロマンから、いつの間にかスチャラカホームコメディに変わってしまった。主人公は探偵なのに、その父は大泥棒、母は清純な日本の母のくせに負け知らずのギャンブラー、恋人は浅草で踊るストリッパーだ。

夢幻紳士 幻想篇

夢幻紳士 幻想篇