とにかく闊達に自在に、かつ無責任に、書いたものだ。こんなに伸びやかにかけるという幸運に、最晩年までもう一度、恵まれるだろうか、と今では自分でうらやんでいる。軽快に筆が運んだはずだよ、だって半分以上は本人の筆というよりも、古人が著者の愚鈍さに業を煮やして、それでもその思慕の情をいささか憐れんで、使いの者を送り、下手の筆をふんだくって、なりかわって書かせたのだから、とつぶやきたくもなる。
(「著者から読者へ」より)
だって。古井さん、憑依されちゃってたのね(笑)。
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- 作者: 古井由吉
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/09/09
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