わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

金井美恵子「女友達」読了/「軽いめまい」

「女友達」は、なぜかラストに、主人公の夏実が友人から借りた本を読む、という設定で、金井が単独のエッセイとして書いたと思われる荒木経惟桑原甲子雄論2本が組み込まれている。いずれも、「アラーキー→表層的で無防備なわかりやすい時代批評、平板化されたイメージ」「桑原→安易なノスタルジーなんぞではなく、時代の襞の質を写し取った寡黙な主張」といったテーマで、薄っぺらい印象批評を徹底的に叩きのめそうとしている。この、うがったモノの見方がいかにも金井的。