わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

船より飛行機/高貴さが

 船よりは飛行機を選ぶほうだ。のんびりと波に揺られるのは好きだが、離着陸の緊張感や飛行中の浮遊感覚、見下ろす視界の広さのほうがもっと好きなのだが、ならばなぜ、ここ数週間、繰り返し船の夢ばかりを観るのだろうか、と疑問に思っていたのだが、ようやく飛行機の夢を観ることができた。ポンコツのレシプロ機をなんとか修理したぼくはそれに乗って空に上がるのだが、なぜかそこで、操縦桿を握ったまま、紙でできたミニチュアの飛行機に紐を付け、それを凧のように空中に浮かばせ、遊んでいる。天坂さんという知り合いがいるのだが、天の坂ってことなんだよな、坂道だと飛行機もスピードが出る、と、よくわからんひとりごとを呟きながら。
 五時五十分起床。四時ごろに必ずゴハンをほしがるはずの花子が、ここ数カ月、おなかが空いていないのか爆睡しているからなのかはよくわからないが、ぼくを起こさず、ドアを開けたままにしたアトリエの収納の中やデスクの下から出てこないことが多い。目覚め、さて、と起き上がるとその気配に気付いた花子の姿を見てはじめて、あ、おまえゴハン食べてないだろ、と声を掛け、もちろん返事などあるはずがないのだが、食べてない、と寝ぼけまなこで言われているような気がするので慌ててキッチンへ向かい、朝食の用意を、といっても猫缶を開けるだけだが、してあげる。ところが一口二口食べると、もういい、とどこかに行ってしまう。どこかと思えば、洗面所だ。花子は基本的に汲み立ての水しか飲まない(と自分で決めているらしい)ので、ぼくが気付いて水を汲み直すのを待っている。至れり尽くせりな猫だな、と苦笑しながら、花子のためにわざわざ取り付けた洗面所専用浄水器から勢いよく流れる水を注ぐ。目の前の鏡に映った、苦笑する自分の顔がひどすぎると思った。花子のような高貴さがなければ、と痛感する。
 暑さに白旗を揚げたくなる一日。だがそんなもの揚げたところで涼めるわけがなく、暑さをねじ伏せるべくエアコンを稼働させるのだが、いつもは地球のことと電気代を考え30度に設定しているところを28度にしたのだが、ぜーんぜん部屋は涼しくならず、27度にすると多少マシ、だが作業しているとオデコだの首だの背中だのから汗がじわーっとしみ出てくる状況は変わらない。それならば、暑さと勝負しようとしているのがまずいのだ、勝ち負けですべてを決める時代じゃない、共生共生だ、と考え直し、汗が出るということを受け入れてやろうと思ったのだが、そうしたところで仕事の能率が上がるわけではなく、したがって今日はなんだか脳味噌が梅雨前線みたいにずっと一カ所に停滞していた感じで、非常にもどかしいのだが、まあ、脳も夏休みを取りたいのかな、とまた無理やり自分を納得させようとしてみる。もっとも、納得しようがしなかろうが、今は比較的仕事が落ち着いているからあまり関係ない。静かに、残ったことをこなすだけだ。