わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

安彦良和『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』(21)

 いよいよア・バオア・クーでの決戦…なのだが、細かな部分がかなりアニメ版と違っている。徹底的な戦略検証により「戦争」としてのリアリティが増し、なぜ最終決戦の場がア・バオア・クーだったのか、そしてそこではどんな闘いが求められていたのかが明確になり、兵士たちの緊迫した雰囲気もグンと高まった。そしてアムロララァの闘い。アニメ版以上に叙情的にまとめられている。そして特筆すべきは、セイラとシャアの関係、かな。アムロに負けたシャアのゲルググを、搭乗したモビルスーツ(!)が大破し脱出したセイラが偶然発見し、ゲルググを追いはじめるのだが……。この一コマのすばらしさといったら。シャアとセイラの関係性、二人が背負っているものの重さ、それらを見事に表現している。巻末にはア・バオア・クーのストーリーや演出に関するスタッフブレストの様子も掲載されている。漫画家・安彦良和の魅力が存分に楽しめる一冊。

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』シリーズはこちら