わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

古井由吉『詩への小路』

 作者が古典的な詩作をひもときながら、あれやこれやに思いをめぐらす……というかたちの、限りなくエッセイや評論に近い小説。
「1 ふたつの処刑詩」。西暦九九二年に「私は神だ」と言ったために死刑を宣告されたフセイン・アル・ハラージの処刑をうたった詩。そしてリルケの、イエス・キリストの死後・復活前の「地獄行」をうたった詩。生死のはざま、ギリギリの生からは必ず真実(めいた何か)がチラリホラリと見え隠れする。それは前者・フセインにもどうやら見えたようだ。その処刑詩が引用されていた。

 認識とは事物を見ることだ。しかしまた、すべての事物が絶対の中へ沈むさまを見ることだ。

 

詩への小路

詩への小路